エンジニアは一日中パソコンに向かっているイメージが…

エンジニアのイメージとして「一日中パソコンに向かって作業している」というものを思い浮かべるかもしれません。確かにエンジニアの仕事は、設計・プログラミング・データ分析など、パソコンを使う場面が多くあります。しかし実際はそれだけではありません。実験や試作、現場での検証作業も頻繁に行われています。
また、チームメンバーや他部署、時には社外のパートナーとの打ち合わせや会議も日常的に行われます。素材の選定、実験の計画、データ分析など、パソコン作業以外の業務も非常に多いのが実情です。

どのような技術分野に携わるかにもよりますが、PCに向かっている時間の方が短いというエンジニアもいます。

ソフトウェア=プログラミング?

ソフトウェア開発に興味がある方の中には「ソフトウェアの仕事=プログラミングを行うこと」というイメージを持っていらっしゃるかと思います。エンジニアにとってプログラミングスキルはもちろん必要ですが、それだけで仕事が完結するわけではありません。

ソフトウェア開発ではまず「何を」「どのように」実現するかを考える工程が非常に重要です。計算に基づいた理論的なアプローチや、物事を順序立てて考える論理的思考力が求められます。要件定義、設計、テストといった様々な工程があり、プログラミングはその工程の一部として行われます。プログラマーという、コーディングそのものを専門とする職種もありますが、ソフトウェア開発全体に関わるエンジニアは、より広範な知識と能力が必要とされます。

つまり、モノづくりのツールとしてプログラムを活用するのがエンジニアの本質的な仕事です。

製品が世に出るまでの「エンジニアの役割」とは

製品開発におけるエンジニアの役割は、単に設計や開発工程に関わるだけではありません。企画段階から始まり、設計、試作、評価、量産を経て、無事ユーザーの手に渡り、期待通りに機能するところまでが設計者としての責任です。ユーザーからのフィードバックを収集したり、市場での製品の挙動を分析したりすることで、次の製品の改善点や新たな技術開発のヒントが得られます。また、万が一、市場に出てからリコールや重大な問題が発生した場合、その原因究明や対策は開発に携わったエンジニアの重要な責務となります。

製品が世に出ることは一つの区切りではありますが、そこで終わりではなく、その後のさらなる研究や開発へとつながるサイクルの一部と考えてください。

エンジニアでもコミュニケーション力は必要?

1人で黙々とする作業が多いと思われがちなエンジニアですが、実はエンジニアにはコミュニケーションが必要不可欠です。むしろ、技術よりも重要視されることもあります。同じ工程で働くチームメンバーはもちろん、営業や製造、品質管理など他部署との連携も多く、自分の設計意図を的確に伝える力や、相手の要望を正しく理解する力が求められます。お互いの共通理解や信頼関係を築くには、丁寧なコミュニケーションが欠かせません。

また、自身のスキルアップをするためにもコミュニケーションスキルは重要です。上司や先輩に質問したり議論したりすることで、技術への理解が深まり成長につながります。素直に学ぶ姿勢と積極的なコミュニケーションが、エンジニアとしての力を高めてくれます。

技術と人間力、その両方を兼ね備えたエンジニアこそが、これからの時代に求められる人財といえるでしょう。

エンジニアは「人」と「技術」の掛け合わせ

将来、エンジニアを目指す皆さんには、専門分野の学びはもちろんのこと、積極的に人との関わりを持ち、コミュニケーション能力を磨くことの重要性をぜひ知っておいていただきたいと思います。幅広い視点からエンジニアという働き方を捉え、自身のキャリアを考える参考にしてください。